滋賀弁護士会について

会長決議・声明

最低賃金の引上げを求める会長声明

中央最低賃金審議会は、近々、本年度の地域別最低賃金額改定の目安についての答申を行う予定である。例年、各地域の地方最低賃金審議会は、この目安を参考として、地域別最低賃金額を各労働局長へ答申し、その答申を受けて労働局長が具体的金額を決定する。

昨年度において、滋賀地方最低賃金審議会は、この目安を参考に、滋賀県の地域別最低賃金額を1時間あたり788円(24円の引上げ)とする答申をし、その答申を受けて、滋賀労働局長は同最低賃金額を同額に決定している。


最低賃金制度の目的は、賃金の低廉な労働者について、賃金の最低額を保障することにより、労働条件の改善を図り、もって、労働者の生活の安定、労働力の質的向上等を図ることにある(最低賃金法第1条参照)。

しかし、788円という水準では、フルタイム(1日8時間、週40時間、年間52週)で働いても、月収は約13万6000円(年収は約163万円)に留まり、ワーキングプアの目安とされる年収200万円を下回るなど、労働者が経済的に安定した生活を送ることは困難である。そして、生活の不安定は労働能率の減退を招くほか、低収入により就業が不安定な労働者も増加することから、労働力の質的向上も期待できない。


最低賃金周辺の賃金水準で働く労働者層の中心は非正規雇用である。非正規雇用は、全雇用労働者の4割にまで増加し、特に、女性の割合が多く、若年層で急増しており、しかも、主に自らの収入で家計を維持する必要のある非正規労働者が増加している。貧困率が上昇している中、女性や若者を中心として全世代で深刻化しているワーキングプアの問題を解決し、また、男女賃金格差を解消するためにも、最低賃金の大幅な底上げが図られなければならない。


政府は、2010(平成22)年6月18日に閣議決定した「新成長戦略」において、2020(平成32)年までに、最低賃金を全国平均1000円にする目標を掲げており、最低賃金制度の目的を考えると、その目標を引き続き維持すべきである。

なお、最低賃金の大幅な引上げは、特に中小企業の経営に大きな影響を与えることが予想されるため、政府において最低賃金の引上げを誘導するための補助金制度や生産性を高めるための施策、減税措置などが有機的に組み合わされ実施されるべきことはいうまでもない。


そして、滋賀県において、全国平均である1000円の目標を今後4年間で達成するためには、1年あたり50円以上の引上げが必要である。

よって、当会は、労働者の生活の安定及び労働力の質的向上を図るため、滋賀地方最低賃金審議会に対して、本年度の滋賀県における地域別最低賃金額について50円以上の引上げを答申すること、及び滋賀労働局長に対して、1時間あたりの地域別最低賃金額を昨年度より50円以上引き上げ838円以上に決定することを求める。

2017(平成29)年6月14日

滋賀弁護士会
会長 佐口 裕之