滋賀弁護士会について

会長決議・声明

死刑執行に抗議し、あらためて死刑制度の廃止を求める会長声明

去る7月6日及び同月26日の両日、東京拘置所等において、合計13名に対する死刑が執行された。第2次安倍内閣発足以降、26日の執行で14回目、累計で34名の死刑が執行されたことになる。また、同月6日の執行は7名、同月26日の執行は6名という大量執行であり、一度にこれほどの人数の死刑が執行されたことは前例がない。

今回執行された13名は、いずれもオウム真理教による一連の犯罪で死刑判決を受けた者である。松本サリン事件、地下鉄サリン事件をはじめとするオウム真理教による一連の犯罪は、空前絶後の多数の被害者を生み、今なお後遺症に苦しむ被害者も多数に上るものであるから、事件に関わった者の責任は極めて重大である。

しかしながら、たとえそのような事件に関わった者に対してであっても、死刑を執行することは正当化できない。

刑事司法が、誤判のおそれと隣り合わせにあること、誤判の中には全くのえん罪のみならず、量刑を左右する重要な事実についての事実誤認も含まれること、死刑の犯罪抑止効果に疑問があること、国連から再三にわたって死刑廃止の勧告を受けていることなどを考え、当会は、2016(平成28)年9月の臨時総会において「死刑廃止を求める決議」を採択した。また、日本弁護士連合会も、同年10月の人権擁護大会において、「死刑制度の廃止を含む刑罰制度全体の改革を求める宣言」を採択している。

死刑を行うということは、この世に生きる値打ちのない生命があるということを国家が正面から宣言することにほかならない。私たちが目指すべきは、罪を犯した人の更生の道を完全に閉ざすことなく、すべての人が尊厳を持って共生できる社会である。これは、犯された罪の軽重に関わらず貫かれるべき理念である。

今回死刑が執行された13名の中には再審を請求している者も多く含まれており、中には初めて再審を請求していた者もいた。再審請求中の者に対して死刑を執行するということは、再審制度の趣旨をないがしろにするものであって、そのこと自体重要な問題を含んでいる。

また、今回死刑が執行された者の中には、心神喪失の状態にあるおそれが指摘されていた者もいた。刑事訴訟法第479条第1項は、「死刑の言渡を受けた者が心神喪失の状態に在るときは、法務大臣の命令によつて執行を停止する。」と規定する。しかし、現状では、死刑の執行機関が自ら心神喪失の有無を判断することとなっており、その審査の中立性が担保されていない。今回の執行では、この点も重要な問題である。

当会は、今回の死刑執行に対し強く抗議するとともに、直ちに死刑の執行を停止した上で、死刑に関する詳細な情報を公開し、死刑制度の廃止に向けて全社会的議論を深め、すみやかに死刑制度を廃止することを求めるものである。

2018(平成30)年9月19日

滋賀弁護士会
会長 片山 聡